種子島の南西端に位置する浦田海水浴場。
先月末には海開きが行われ、種子島が南の島であることを再確認する。
この海水浴場の最大の魅力は砂浜の白さにある。
種子島といえば鉄砲伝来や伝統特産品の種子鋏に象徴されるように、その砂浜は砂鉄を含んでいる場合が多く、白さよりも黒や灰色が目立つところもある。もちろん砂鉄が含まれていないのではないが、浦田海岸は白さが際立つ。それだけに晴天の時などは、空や海の青さと砂浜の白さのコントロストがまばゆく映り、島内の人々もわざわざ浦田海岸まで出かけてくる。
また浦田海水浴場は、日本の水浴場88選のひとつでもあり、島内はもちろん県外の方々も当地を目指して訪れるという。
砂浜の隣接地には「シーサイドハウス」と呼ばれるトイレやシャワー、展望所などを完備した案内所もあり、安心して海水浴を楽しむことができる。
他にもピンク色が際立つゆりかご状のベンチもあり、年齢を問わず楽しめる仕掛けが多い。
キャンプ施設もあることから、これからの季節、密にもならず楽しめる観光地といえそうだ。
島の南西端だけに、砂浜の向こうには南大隅町から肝付町にかけての大隅半島の東海岸を望むことができ、県本土と案外近いことが納得できる。
海岸のすぐ北側にある浦田港は、江戸後期に編纂された地誌「三國名勝図会」によると、種子島においては熊野港と並ぶ2大良港として認識されていた。
そのため、本土との交易拠点でもあり、古くは丸木舟で行き来していたと考えられている。
また浦田集落には、ウガヤフキアエズノミコトを主祭神とした浦田神社がある。その境内には「お種子播き石」があり、御祭神がこの石から稲の種子を播き、わが国の稲作が始まったとの伝説がある。そしてこの稲作発祥の物語から種子島の「種子」の名称が生まれたとされている。
浦田海水浴場は、海水浴はもちろん、種子島にとって大切な歴史にも触れることができる場といえそうだ。