2013年1月 桜島

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桜島の誕生として、「和銅元年、一夜に涌出す、祭神月読尊とあり。」(1840年代に編纂された薩摩藩の地誌書『三国名勝図会』より)といった有史以降の涌出の記録が複数残されている。

いまでは、地質調査により、約1.3万年前に桜島の北岳が噴火活動を始めたことで原型が形づくられた点が明らかになったが、それだけ活発な噴火が幾度となく繰り返されてきたことを物語る。

桜島は、有史以降幾度かの大規模噴火が起き、島民の生活に被害を与えてきた。一方で、そのたびにふるさとである桜島の復興がなされている。そのなかでも、桜島小みかんと桜島びわは特産品として広く知られる。

桜島小みかんは、戦国時代に八代の高田みかんが伝わったという。1603(慶長8)年、徳川家康に献上されたことを契機に名産品として知られるようになり、しばらくは「向島みかん」の名で献上されていたと考えられる。

その後、一説には5代将軍綱吉の治世に、「向島」が「てむかう」につながることを避けるべく、向島から桜島の呼称が優勢となっていく。直径5cmほどで深い甘みの世界一小さなみかんは、今でも贈答用を中心に流通している。

2012年3月、霧島錦江湾国立公園が誕生し5月には鹿児島市が桜島ジオパーク研究会を設立するなど、火山と共生した地域づくりが模索されている。