長島の北端に位置する針尾公園は、鹿児島県の北端地域を眺望できる絶景スポットである。
長島は周囲約86キロ、面積約91平方キロの眼前は天草諸島という県境の島。島の最高峰は約400メートルの矢岳だが、針尾公園はさらに北東の丘上に位置することから、長島町の島々や天草がみごとに眺望できる。公園の展望台に立つとまず、360度のパノラマに目を奪われ、なかでも北側180度を眺めると実に変化に富んでいる。
展望所の真下には薄井漁港と竹島がある。洋上には数多くのいけすが浮かんでいるが、これは長島ブランドとして全国に出荷されるブリの養殖場だ。もちろん、薄井漁港では新鮮なブリを堪能できる食堂もある。
渡ると空を飛んでいるかのような感覚になる橋が架かる竹島は、加工施設などが立ち並ぶまさに水産業のための島だ。橋の下を行き交う船を眺めているだけでも楽しい。
公園から東方向に位置する伊唐島は複雑な海岸地形が発達した周囲約18キロの島で、平成8年に架橋された大橋で長島と結ばれている。
薄井漁港の北西には諸浦島があり、その先には化石の島として知られる獅子島がある。獅子島の中央に位置する七郎山は標高393メートル。頂上のテレビ塔などが目立つため針尾公園からもすぐに確認できる。
それらの周囲に天草下島や御所浦島などが広がり、風景にさらなる奥行きを与えてくる。
もちろん、水俣湾の穏やかな水平も印象深い。時間を忘れる景観を楽しみたければ、これからの季節針尾公園がおすすめだ。